一言で虫歯と言っても、大人の虫歯と子供の虫歯、妊婦さんの虫歯には、虫歯になりやすい環境が異なる場合があります。このページではその違いや対応、予防方法についてご紹介します。
大人の虫歯とは

子供の虫歯とは違い、大人の虫歯は痛みを感じにくいという特徴があります。そのため、ズキズキとした痛みを感じ始めてから虫歯に気づくことも少なくありません。
大人の虫歯に特徴的なものは大きく分けて2つあります。1つは、歯茎が下がった部分に生じる「根面う蝕」。もう1つが治療した歯が再び虫歯になる「むし歯の再発 (二次う蝕)」です。
根面う蝕とは
加齢や歯周病により歯茎が下がると、丈夫なエナメル質に覆われていない歯根が露出していきます。この部分が虫歯になることを「根面う蝕」といいます。


根面はエナメル質に覆われていないので、虫歯はすぐに象牙質に達してしまいます。象牙質はエナメル質よりも軟らかく、酸にも弱く溶けやすいため、根面う蝕は通常の虫歯よりも進行が早いという特徴があります。
根面う蝕は「しみる」「ズキズキする」といった自覚症状がほとんどありません。歯の根元にできる虫歯のため唇で隠れやすく、虫歯のある場所によってはレントゲン撮影をしても発見が難しいため、気づいたときには虫歯がかなり進行していることもあります。
根面う蝕は歯と歯茎の境目に沿って横に進行していきます。そのため通常の食べ物をかむ部分にできた虫歯よりも削りにくく、詰め物をすることも難しいです。状態によっては根面う蝕を取り除くために、虫歯になっていない部分を削る場合もあります。さらに治療を受けた歯は脆くなりやすいです。
どのような人が根面う蝕になりやすい?
◆ 強い力で歯磨きをしている
虫歯や歯周病予防のためにも、毎日の歯みがきは欠かせません。ですが強い力でブラッシングすると歯や歯茎に強い負担をかけるだけでなく、歯も歯茎も削れてしまいます。それにより歯根部分が露出し、根面う蝕になるリスクが高まります。
◆ 歯周病の方
歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。歯周病が進行すると、歯を支える歯茎や骨などが溶けていきます。その影響で歯茎が下がり、歯根部分が露出します。そして露出した歯根のケアがきちんと行われていないと、根面う蝕になるリスクが高くなります。
◆ 歯ぎしり・食いしばり癖がある
通常の食べ物をかむときの力にくらべ、歯ぎしりや食いしばりは歯や歯茎、顎骨といった歯周組織にとても大きな負担を与えます。このダメージが蓄積していくと歯周組織が破壊されるため、歯根部分が露出して根面う蝕のリスクが高くなります。
◆ 加齢による変化
年齢を重ねるごとに歯茎は下がっていきます。それにより、歯根部分が露出することで根面う蝕のリスクが高くなります。早い方では30代から見られ、40代で一気にリスクが高くなる傾向があります。
むし歯の再発 (二次う蝕)とは
過去に治療を行った部位に再度発生した虫歯です。主な原因としては「詰め物の劣化」「治療後の口腔ケア不足」「最初の治療精度が低かったため」などがあります。
どうして再発虫歯ができてしまうの?
◆ 詰め物の劣化
虫歯治療に使用した詰め物・被せ物などが劣化した際にできる隙間や段差から虫歯菌が入り込み、虫歯になることがあります。特に銀歯は金属でできているため、熱が加わると膨張し、冷えると収縮するという特徴があります。普段の食生活で膨張と収縮が繰り返されることにより、接着面に隙間や段差ができます。銀歯だと必ず再発虫歯になるわけではありませんが、定期的な検診でリスクを抑えていきましょう。
◆ 治療後の口腔ケア不足
虫歯や歯周病予防といった口腔ケアは欠かせません。治療後もケアを怠っていると、再発虫歯だけでなく、他の歯も虫歯になるリスクが高まります。虫歯は治療したら終わりではありませんので、毎日の正しい歯みがきとフロスで健康な口腔環境を維持していきましょう。当院では歯みがき指導もしておりますので、ご自身の歯みがきが不安になった時はお気軽にご相談ください。
◆ 最初の治療精度が低かった
治療時に完全に虫歯が除去できていなかった場合、残った細菌によって虫歯が再発する可能性が高まります。詰め物や被せ物を隙間なく接着できていない場合も同じです。当院ではこのようなことがないように細心の注意を払って治療をしております。定期的な検診をすることで予後の確認もできますので、ぜひお気軽にご来院ください。
子供の虫歯とは

子共の虫歯は「甘い食べ物や飲み物の摂取」「不十分な歯みがき」「歯科診療の頻度の低さ」によって引き起こされることが多いです。特に乳幼児にとって重要な健康問題ですので、親子で歯みがき習慣を身につけていきましょう。
当院はベビーカーも治療室へ入れる院内設計になっております。小さなお子さんや赤ちゃんがいる方でも安心してご来院ください。
子供が虫歯になる原因例
◆ 虫歯原因菌を持っている人からの感染
乳幼児は虫歯の原因菌を持ってはいません。ですが、原因菌を持っている方からの「食べ物を口移しで与える」「キスをする」といった行為から乳幼児に菌が移ります。愛する我が子を思っての行為が、子供の虫歯の原因になってしまうのです。親子間の食べ物の口移しによる感染のリスクについては色々な説がございますが、念のため、自分が口にしたものをお子さんに与えないようにしましょう。
◆ 糖分との相互作用
「子供に甘い物を与えすぎないように」と気をつけていても、糖質が原因による虫歯はとても多いです。これは糖質の量よりも摂取頻度が関係しています。与えた食べ物や飲み物に含まれている糖質が少量でも、口の中に糖質が留まる時間が長いと虫歯になるリスクも高まります。特にガム、キャンディー、グミのような長時間かけて食べるお菓子をあげる際は注意しましょう。
お菓子は少量を何度も与えるのではなく、決まった時間に決まった回数と量を与えることが虫歯の予防にもなります。
◆ 歯の発育段階
子供の歯は成長段階にあり、歯のエナメル質がまだ十分に硬化していません。そのため虫歯に対する耐性が低く、虫歯が進行しやすいです。はえたての永久歯を幼若永久歯と言いますが、はえてから3~5年は虫歯のリスクが高いと言われます。仕上げみがきが不要になるのはお子さんによって一律ではないですが、概ね小学校卒業くらいまでと考えています。大事なお子さんの歯が虫歯にならないよう、毎日の歯ブラシケアをしてあげましょう。
子供の虫歯予防はどうすればいい?
虫歯を予防するためには、以下の対策が重要です。
◆ 適切な歯みがき
大人も子供も歯みがきは虫歯予防の基本です。虫歯を嫌がってしまう子はいますが、大事な健康のためにも譲れない大事なケアです。当院ではお子さんへの歯みがきの方法やチェックの仕方などもお伝えしておりますので、一緒に頑張りましょう!
◆ 健康的な食事
栄養バランスを考えたお食事は健康な発育に欠かせません。少量を何度も与えるよりも、決まった時間に決まった量を与えることが大事です。料理によっては調味料にも多くの糖質が入っています。ですが、そこまで考えすぎてしまうと何を作れば良いか…と悩んでしまうことがあるかもしれません。ひとりで悩まず、ぜひ当院まで気軽にご相談ください。
◆ 定期的な歯科検診
虫歯の早期発見と治療には、歯科医による定期的な検診が欠かせません。大事なお子さんの歯のためにも、定期的に検診されることを推奨いたします。もちろん親御さんの歯も大事です。親子でぜひ当院までお越しください。
妊婦の虫歯とは

妊婦の虫歯は「妊娠中のホルモンの変化」や「つわりによる嘔吐」などによって、歯に影響を与えることがあります。体の変化や出産への準備などで忙しくなりますが、出産後はなかなか通院する余裕がない方が多い傾向にあります。安定期に一度歯のチェックをお勧めいたします。
当院はベビーカーや車いすが入りやすい設計になっております。部屋や廊下の幅を広くとっており、手すりなども設置しております。妊婦さんも安心してご来院ください。

妊婦中の虫歯の原因
◆ ホルモンバランスの変化
妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌が増えます。これらは歯茎に影響を与えやすいため、歯肉の腫れ・出血などの症状が出てくる場合があります。その影響で歯みがきが苦痛に感じてしまい、歯をみがく回数と時間が減少する場合があります。それによって十分な口腔ケアができていないと歯周病や虫歯になるリスクも高くなってしまいます。
◆ つわりによる口腔ケア不足
妊娠初期に多く見られるつわりによって吐き気が強くなり、歯みがきをすると吐きそうになってしまうことがあります。また、吐いた胃酸によって歯のエナメル質が弱くなることもあります。
◆ 唾液の減少
唾液には口の中の酸を中和したり、食べ物のカスを洗い流したり、初期虫歯を修復する作用などがあります。ですが、妊娠中はその唾液の分泌量が減少することがあります。
◆ 食生活の変化
妊娠中は食の好みが変わることがあります。特にチョコレートやクッキーなどの甘いものを口にすることが増えたときは要注意です。これらの食品は虫歯菌のエサとなり、酸を生成することで虫歯の進行が加速します。間食の回数が増えると歯が酸にさらされる時間が長くなり、虫歯になるリスクが高まります。
妊娠中はどうやってケアしていけばいいの?
上記の原因はホルモンバランスの変化など、妊娠中にどうしても起こってしまう生理現象が起因しています。少しでも体の負担を軽減させる方法をご紹介いたします。
◆ 無理をして磨こうとしない
歯みがきは食後に行うと効果的ですが、妊娠中はご自身が体調が良いと思うタイミングで磨きましょう。リラックスできる環境で行うことが大切です。
歯みがきは大事なケア方法ですが、体が変化する中ではどうしてもできないこともあります。その際は「口をゆすぐ」「できそうであればうがいもする」など、そのときの自分に一番負担のかからない方法でケアをしていきましょう。
◆ こまめに口をゆすぐ・うがいをする
妊娠中は唾液の分泌量が減り、口腔内が乾燥しやすくなります。食事の後だけでなく、こまめに水で口をゆすいだり、できそうであればうがいをして口腔内を潤しましょう。
◆ 小さめの歯ブラシ・低発泡の歯みがき粉などを使う
ヘッドの小さめのブラシを使用して、奥歯を磨くときにできるだけ喉の粘膜が刺激されないようにしましょう。低発泡の歯みがき粉を利用することで不快感を減らすことも効果的です。
妊娠中は歯科治療ができない?
歯科医院で治療や診察をしたいけど、使用する薬剤や材料が胎児や乳幼児に影響するのでは…と、歯科医院に行くことを諦めてしまう方もいらっしゃいます。
ですが、妊娠の時期やご自身の体調に注意すれば、ほとんどの歯科治療を受けることはできます。虫歯ができた際も痛みをとるための応急処置で対応することも可能です。妊娠中・授乳中に使用できるお薬もございます。
注意していただきたいのは、お子さんに乳歯が生えてきた頃です。
お子さんに乳歯が生えてくると、赤ちゃんのお世話をしている人から虫歯菌が感染することがあります。(詳しくは「子供が虫歯になる原因例」をご参照ください)
ですので、赤ちゃんのお世話をする方は口の中を清潔な状態にし、虫歯のない状態にしておくことが理想的です。
ご自身の健康、そしてお子さんの健康のためにも、ご無理のない範囲で歯科医院での受診をオススメいたします。わからないことがあれば、ぜひご相談ください。
